生命情報学・人類遺伝学の分野でさまざまな研究を展開しています。
研究室で取り組んでいる研究プロジェクト
感染症の迅速診断のためのゲノム解析システム開発
・ナノポア技術を使った1分子DNAシークエンサーと独自のソフトウエア・データベース群で構成されるゲノム解析システムを構築し、感染症の迅速診断のための技術開発を行っています。細菌感染症ならば2時間程度で原因細菌を判定が可能です。ウイルスや真菌類のゲノム診断も試みています。さらに、薬剤耐性菌を短時間で検出・プロファイリングする技術も開発しています。
ヒトゲノム情報による顔形状の予測
・一卵性双生児の顔は区別が難しいほど似ていることからわかるように、ヒトの顔形状は強く遺伝的に規定されています。そこで、ゲノム多型と顔形状の関連を解明し、ゲノム情報から顔形状を予測するためのソフトウエア「ゲノムモンタージュ」の開発をめざして研究を進めています。3Dスキャナ装置を使って顔の立体的な形状を測定し、同時にゲノム多型を解析して、両者の関連を詳細に調べています。
ゲノム多型解析に基づく日本人の地域差
・日本人のゲノム多型データを解析し、日本人の地域差と進化について研究を行っています。日本人のゲノムは決して均一ではなく、かなりの地域差があります。そこで、地域特異的な多型を特定することにより、ゲノム多型データから出身地の推定を行う技術を開発しています。また、地域により偏った分布をする疾患がありますので、その原因遺伝子の探索を行っています。
疾患関連遺伝子探索をめざしたデータマイニング研究
・ヒト遺伝子に関する統合データベースを活用し、その計算機解析を通じて、疾患関連遺伝子の探索を行っています。
ヒト遺伝子多型の疾患リスク情報データベース開発
・疾患に関わるゲノム多型の情報を整理統合したデータベースVaDEを公開しています。VaDEのサイトはこちら。
ヒト遺伝子の統合データベース開発
・ヒト遺伝子の統合データベースH-InvDBを公開しています。H-InvDBのサイトはこちら。
個人の研究プロジェクト
中川
iPS細胞の分化状態を評価するためのゲノム解析
インターフェロン、フォークヘッド遺伝子などの多重遺伝子族の進化と疾患
内在性ウイルスの進化と疾患
蛋白質の翻訳開始メカニズムの進化
松前
深在性真菌症のゲノム多様性解析
集団史から見た、ホモ・サピエンスにおける言語の多様性と進化
主な研究費
科研費・基盤研究(B)(2023-2025年度)
「ゲノム多型情報に基づくヒトの顔形状予測法の開発と人類学応用」(代表:今西 規)
科研費・新学術領域・ヤポネシアゲノム・公募班(2021-2022年度、2023年度に継続)
「ヤポネシア人ゲノムの地域差に基づく難治性疾患の関連遺伝子解明」(代表:今西 規)
科研費・基盤研究(C)(2020-2022年度)
「哺乳類ゲノムに内在化したレトロウイルス由来の遺伝子の進化メカニズムの解明」(代表:中川 草)
科研費・若手研究(2020-2021年度)
「深在性真菌症のゲノム多様性解析」(代表:松前 ひろみ)
科研費・新学術領域・共創言語進化・公募班(2020-2021年度)
「集団史から見た、ホモ・サピエンスにおける言語の多様性と進化」(代表:松前 ひろみ)
JST・創発的研究支援事業(2021-2023年度)
「生物学と人文科学の融合:人類情報学(Anthropological Informatics)の構築」(代表:松前 ひろみ)
日本中央競馬会・畜産振興事業(2020-2022年度)
「牛乳房炎に対する乳汁移植技術開発事業」(分担者:今西 規)
>以前の研究課題
科研費・基盤研究(B)(2019-2021年度)
「機械学習を駆使したゲノム多型ビッグデータからのヒト顔形状の予測」(代表:今西 規)
武田科学振興財団・特定研究助成(2018-2020年度)
「迅速ゲノム解析と人工知能を用いた感染症診断支援システムの開発」(代表:今西 規)
科研費・新学術領域・ヤポネシアゲノム・公募班(2019-2020年度)
「ゲノムワイドな多型解析に基づくヤポネシア人集団の進化モデル構築」(代表:今西 規)
科研費・新学術領域・ネオウイルス学・公募班(2019-2020年度)
「大規模バイローム解析システムの構築および新規同定ウイルスの分子進化解析」(代表:中川 草)