イエネコの移動経路をレトロウイルスを用いて解析

本研究室の中川助教が宮沢孝幸 京都大学ウイルス研究所 准教授と下出紗弓 京都大学大学院 医学研究科博士課程学生(日本学術振興会特別研究員DC2)との共同研究が2015年2月2日付の英国Nature Publishing Groupのオンライン科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。

Sayumi Shimode, So Nakagawa & Takayuki Miyazawa
Multiple invasions of an infectious retrovirus in cat genomes.
Scientific Reports 5, Article number: 8164 doi:10.1038/srep08164
http://www.nature.com/srep/2015/150202/srep08164/full/srep08164.html

本研究にてイエネコの移動経路・各品種の起源を解明するための有用な指標となる内在性レトロウイルス(過去に感染したレトロウイルスの痕跡)を発見しました。イエネコの家畜化の歴史は約1万年前に中東で農耕の発達と共に始まったと考えられています。穀物を荒らすネズミの捕獲用として家畜化されたネコは、次第にその愛らしさから本来の役割よりも愛玩動物としての側面が重視され、様々な品種がつくられました。人々との暮らしを選ぶようになったネコのうち、ある集団は貿易商人やバイキングたちとヨーロッパを旅してまわり、大航海時代には新大陸へと上陸していきました。一方、あるネコたちは経典をネズミから守るために仏教徒と共にシルクロードを旅し、独自の形質を獲得したと考えられています。しかしながら、家畜化された後、ネコがどのように世界各地に移動し各品種がつくられたのか、その詳細は明らかにされていません。本研究ではイエネコのゲノムに刻み込まれたレトロウイルスの度重なる侵略を受けた痕跡(内在性レトロウイルス)を調べることで、ネコの移動の歴史を明らかにできることを示しました。今後、内在性レトロウイルスの保有状況を詳しく調べることで、イエネコの移動歴をより詳細に明らかにすることができると期待されます。また、本研究は、レトロウイルスの内在化過程を調べる上で、イエネコは貴重なモデルとなりうることを示しています。

研究結果はChicago Tribune日本経済新聞産経新聞(関西版)東京新聞ハフィントン・ポストサイエンスポータル毎日新聞(web)マイナビニュース、2月4日のフジテレビ系列「ニュースJAPAN」などのメディアにて報道されました。

大学院生を募集中

当研究室では、平成27年度の東海大学大学院医学研究科の大学院生(修士・博士)を募集しています。
私たちは、生命の神秘や疾患の原因解明をめざして、ゲノムをはじめとする生命情報の解析に取り組んでいます。ぜひ皆さんも生命情報学にチャレンジしてみませんか。情熱とやる気があれば、知識や経験は問いません。
私立大学の大学院は学費がやや高いので敬遠されがちですが、東海大学には奨学金やTAなど各種の支援制度があるので、ぜひ活用してください。応募をお待ちしています。

東海大学大学院・募集要項

学費・奨学金等の案内

システムエンジニア募集(終了しました)

当研究室におけるデータベース・ソフトウエアの研究開発業務に携わるシステムエンジニアを募集します。

業務内容
Linux上で稼働している既存のWebアプリケーションを改良するための
ソースコード調査、プログラム開発、ドキュメント作成の作業を行う。

必要なスキル
JavaによるWebアプリケーション開発(strutsの経験があればなお可)

期間:2015年2月2日(月)から3月31日(火)
勤務日:週5日(月ー金)
休日:土曜、日曜、祝日
勤務時間:9:00-17:00(勤務7時間、休憩1時間)、残業あり、詳細は応相談
勤務地:東海大学伊勢原キャンパス(小田急線伊勢原駅から20分)
時給:(規定により決定)
締切:2015年1月9日(金)(早く終了することがあります)(終了しました)

ご応募、ご質問等は今西までお願いします(imanishi@tokai-u.jp)。

疾患関連ゲノム多型のデータベースVaDEについて論文発表しました

「再現性」に着目した疾患関連ゲノム多型のデータベースVaDEについて、論文をNucleic Acids Research誌に発表しました。オンラインでご覧いただけます。

Nagai Y†, Takahashi Y†, and Imanishi T* (2014) VaDE: a manually-curated database of reproducible associations between various traits and human genomic polymorphisms. Nucleic Acids Research, Database Issue 2014;doi:10.1093/nar/gku1037.

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個人ゲノム解析コンテストで最優秀賞を受賞

2014年10月4日に仙台で開催された第三回生命医薬情報学連合大会の公開セッションでは、匿名個人のゲノム配列を使ってその個人が誰なのかを当てるという前代未聞の企画が実施されました。当研究室はこのコンテストに参加し、出生地や身体的特徴などのプロファイリング結果を発表しました。個人の特定には至らなかったものの、最優秀賞をいただくことができました。詳細は日経バイオテクONLINEの記事にも紹介されています(有料)。

第三回生命医薬情報学連合大会公開セッション https://biomedpharminfo.org/open_session/

日経バイオテクONLINE記事 第一報(有料) https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141006/179406/

日経バイオテクONLINE記事 第二報(有料) https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141009/179461/

 

宮田満氏から賞品を受け取る今西教授 賞品の萩の月
宮田満氏から賞品を受け取る今西教授(左)、賞品の萩の月(右)

Kirill Kryukov研究員が最優秀発表賞を受賞

2014年10月2-4日に仙台で開催された第三回生命医薬情報学連合大会で、本研究室のKirill Kryukov研究員は”Homology Search Management Tool”というタイトルでゲノム配列の相同性検索を支援するツールの開発について発表し、連合大会最優秀発表賞(IIBMP2014 Best Presentation Award)を受賞しました。同時に、Kryukov研究員は参加者が投票で選ぶ参加者セレクト賞(Community-Selected Excellent Poster Award)も受賞しました。

連合大会ホームページの受賞者一覧 https://biomedpharminfo.org/awards/

授賞式でのKryukov研究員(右) 賞状 賞品の萩の月
授賞式でのKryukov研究員(左)、賞状(中央)、賞品の萩の月(右)

生命医薬情報学連合大会 2014に参加しています!

10/2〜4に仙台で開催されている生命医薬情報学連合大会 2014に今西、中川、Kryukov、高橋が参加しています。

今西は初日のオミックス医療学会のワークショップにて、中川は二日目のJSBiハイライトトラック1にて口頭発表します。Kryukovと高橋はポスターにて研究発表予定です。

そして最終日のセッションではKryukovと今西が取り組んでいた匿名の被験者Xのゲノム解析の結果を発表します。